2005年11月23日

見た(その3) 21g

21グラム…
人間は死ぬと、21g軽くなる。
ハチドリの重さらしい。
それが人の命の重さ。
21グラムってのは軽い?重い?
それは観た人がそれぞれ考える事。
で、V.J.はといえば…
  
  
  
  
心臓疾患の大学教授ポール(ショーン・ペン)
無神論者で過去に殺人を犯し、獄中で信仰に目覚め、生きる道を見出したジャック(ベニチオ・デル・トロ)
夫と子供2人と幸せな家庭を築いていたクリスティーナ(ナオミ・ワッツ)
そんな3人が主人公です。

ポールは、自分が生き続けるには、誰かが死ななければ生きられない運命。
自分に心臓を提供してくれる誰かが死ぬのを待ち続ける人生…

ジャックは、獄中で神に全てを捧げる事を約束し出所したが、自身の過去の為、職業もまともにつけず、それでも神の教えに従おうとすることで、家族ともぎくしゃくし始めている…

クリスティーナは幸せな生活を送っているが、昔はドラッグ中毒者。今は、夫と子供という「すがる」対象がいる。何かに、誰かにすがっていないと生きて行けない女性…

そんな3人は全く別々の生活をしていたのですが、ある事故をきっかけに運命的に結びついて行きます。

ジャックが不注意による事故で、クリスティーナの夫と子供2人を自動車で轢いてしまい、クリスティーナの夫は頭蓋骨骨折で脳死してしまいますが、その心臓がポールに提供される事になります。ある日突然、家族を交通事故で亡くしてしまったクリスティーナは、支えが無くなり、アルコール・ドラッグに再びすがる生活に…

ジャックは信仰に一生を捧げたはずなのに、自分にふりかかる試練の重さに耐え切れなくなって行きます。自分の子供を見ても、事故を起こしてしまった子供とだぶってしまう。子供からは、パパは人殺しなの?といわれ…

クリスティーナの夫の心臓で生を得たポールは、自身の妻(シャルロット・ゲンズブール)との関係がぎくしゃくしている状況の中で、心臓を提供してくれた人の妻、クリスティーナと出会い、愛情を感じて行きます。。。
しかし、ポールが提供を受けた心臓は、拒否反応が出始めており、このままでは心不全になる事が分かっています。また、誰かの死と引き換えでなければ生きられない生活に…

そんな3人のどこまでも救いようの無い地獄が複雑に絡み合いながら物語は進んで行きます。で、最後に、この3人が出会う事になり、結局…

と、長くなりましたが、そんな話です。
あらすじ書いても意味が無いですよね…


この映画に登場する人物全てが「救いの無い」地獄の中でもがき苦しんで生きています。
そんな地獄を「生きて行く」重さはたったの21g。。。
この21gを守る為に、本当に救いの無い地獄を人間は彷徨わなければいけないのです。
とてつもなく重い「21グラム」です。


映像は、ハンディカメラの荒い映像が、過去や未来の映像として、話の流れとは全く脈略無くインサートされて行きます。最初は、かなり戸惑いましたが、最後まで見て行くうちに、そうした演出も、各自の「生き地獄」を表現するには必然と思えてきます。

音楽はほとんどありません。
音楽で表現をサポートする必要が無い程、主人公3人の演技が重くのしかかります。

圧巻なのは、ベニチオ・デル・トロ演じるジャック。
あまりの壮絶な演技に一言も声すら出せません。
こんな凄い役者がいたんだ…

彼が出ている映画はスナッチしか観ていない為、知らないに等しい人でしたが、どこにも出口の無い暗闇を歩き続けなければいけない男の壮絶さ。。。胸打たれます。
3人の誰に自身を投影するかで、見方も変わって来ると思いますが、僕は、圧倒的にジャックに感情移入しました。

ジャックの登場する最後のシーンで、彼が発する最後の一言で、ジャックはきっと救われるのでしょう。
本当に哀しいですが、、、

ナオミ・ワッツ演じるクリスティーナも、オンナの狡さ。頭では違うと分かっていても、ポールにすがるしかない弱さ。彼女の中の地獄を壮絶に演じています。
キレイに撮られる事を拒絶するかのような、女性の情念を表現しています。
彼女もある意味、救われる結果を得るのですが、これは救いでは無いよな。新たな地獄のはじまりだよな…なんて思います。

誰かの死と代わりでなければ生きられないポール。心臓を提供してくれた人の妻を愛してしまうポール。人工授精してまでも互いの生の結晶を得たい妻を拒否するポール、生かしてもらった心臓が自身の体に合わず、また誰かの死を待たなければいけないポール。。。最後に、21gの重さをxxxするポール…矛盾だらけの男のココロの地獄をショーン・ペンが演じています。

彼の映画は久しぶりに見ましたが、マドンナの旦那だった頃とか、「俺達は天使じゃない」の頃のやんちゃ坊主の面影ゼロで(デッドマン・ウォーキングの演技も凄かったですが)、そんな矛盾だらけのオトコのココロの内を見事に描いています。

でも、主役の3人(と、言うか、彼が主役だとは思うのですが)の中では、他の2人が壮絶過ぎて、ちょっと損したかな?って言う位、2人が圧倒的でした。

この映画は、面白かった。とか、難しかったとか。そう言った感想を口にする事すら拒否する様な映画なので、僕ごときが感想を述べるのはちょっとどうかとも思いますが、一応★で表現すると…

★☆☆☆☆

素晴らしい映画だと思います。
ちょっと今までで一番、見終わった後、放心状態が続いた位の衝撃がありました。
でもね。
僕は、映画の中に、何か「救い」を求めてしまうタイプだと思います。(って言うか、この映画をみて気付きました)

どこまでも救いの無いこの映画には(一応、3人にはそれぞれの「救い」が用意されてはいるのですが…その救いは本当に救いなのか?と思ってしまいます)
映画と言う表現が踏み込むべきでは無い領域にまで踏み込んでいる気がしてなりません…

本当に素晴らし過ぎる位凄い映画なのですが…

この記事は?
まぁまぁ面白かった(blogランキングに投票してやってもよい)

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・・・

21グラム (初回出荷限定価格)
観て見て下さい。
そして何かを感じて下さい。
  
  


ラベル:映画 真面目系
posted by V.J. at 02:31| 東京 ☀| Comment(12) | TrackBack(0) | cinema | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まさに衝撃の映画でした。時間軸を徹底的に破壊して観る者を混乱させ、考えさせ、そして全てがつながって行くクライマックスの衝撃と救いようのない暗さ!
そしてこれまた衝撃の主役3人の火花散る演技!
傑作です!
放心状態...誰だってそうなりますよ!
Posted by masa at 2005年11月23日 19:50
近頃見た中でもかなり頭抱えた映画です。言おうとしている事はわかるけれど・・・重過ぎる。

>放心状態...誰だってそうなりますよ!

別の意味で放心状態でした。初発売で21gに引っ掛けて2100円だったのが救いかな・・・
Posted by ぷくちゃん at 2005年11月23日 22:35
>masa兄ぃ
いつもありがとう!

>時間軸を徹底的に破壊して観る者を混乱させ、考えさせ
正直、最初の30分位、意味分からなくて、なんじゃこりゃ?って思って見ていた映画ど素人のV.J.
です。(苦笑)

でも、この映画はホント、放心状態っていうか、溜息出ましたよ。エンディング見て…
傑作には違いないんですけど、僕には重すぎた。。。

そうそう、今、最後のレンタルしているDVD見ているのですが、次はこれを見ろ!の指令下さい(笑)

ちょっと、今年は「映画の秋」って感じになってきました(笑)
Posted by V.J. at 2005年11月23日 23:09
ぷくちゃん
こんな素人出来損ない映画ブログにわざわざお越し頂き恐縮です。

>言おうとしていることは分かるけど…重すぎ
僕は、本文にも書きましたが、救いが無いとキツイ。これだけの地獄から開放されるなら、21gってのは軽いのかも。。。とすら思ってしまいました。
後3本も映画感想文をUPしなければいけない…
お付き合い頂ければ嬉しいのですが…
Posted by V.J. at 2005年11月23日 23:17
うむ。「LADIES&GENTLEMEN」、「COCKSUCKER BLUES」...おっと違った!
まずは「あの頃ペニー・レインと」。キャメロン・クロウ監督の思い入れたっぷりのロック映画です。
「スクール・オブ・ロック」、「オー・ブラザー」も見とかなきゃマズイですよ!
今度その辺、まとめて記事にするつもりです。
Posted by masa at 2005年11月24日 00:00
『21g』、ぼくは劇場で見ましたが、時間軸をバラバラにする手法にあまり意味を感じませんでした。
なんかギミックのような感じがして。

ベニチオ・デル・トロ、スティーヴン・ソダバーグ監督がオスカーを手にした『トラフィック』で助演男優賞を取りましたね。

彼の映画では『誘拐犯』もなかなかでしたが、ぼくがほんとに唸ったのは、ショーン・ペンがメガフォンを取り、ジャック・ニコルスンが主演した『プレッジ』。
サイコ・スリラーと思わせておいて微妙にねじれていくペンの世界は誰にでもお薦めできる映画ではありませんが、わずか15分程度しか出番のないベニチオの演技は圧倒的!!

ブログになる前の「DAYS OF MUSIC&MOVIES」に『21g』も『プレッジ』もレヴューを書いているので、お暇だったらご覧ください。
かなり見にくいとは思いますが…(汗。
Posted by 遼(Parlophone) at 2005年11月24日 00:40
>masaさん
>「LADIES&GENTLEMEN」、「COCKSUCKER BLUES」...
VHS含めそれぞれ3本ずつ程度持ってまーす(笑)
やっぱR&R CIRCUSも?

>「あの頃ペニー・レインと」、「スクール・オブ・ロック」、「オー・ブラザー」
あの頃〜はやっぱり見なきゃダメですかね(笑)
はい。見てません。
スクール〜は遼さんからもお奨めされてます。ハイ・フィデリティのはまり役。ジャック・ブラック主演ですよね。見ます。
ヘイ・ブラザー…コーエン兄弟なのに見てない。
見よう。見ようと思いつつ見てないです(涙)

この3本は次の「見た」ですね、、、
ありがとうございます!
Posted by V.J. at 2005年11月24日 08:20
>遼さん。
コメントありがとうございます!
トラフィックにプレッジですね。(メモメモ)

>ブログになる前の「DAYS OF MUSIC&MOVIES」に『21g』も『プレッジ』もレヴューを書いているので、お暇だったらご覧ください。
ちょとおじゃましてみます!
遼さん、映画にもホントお詳しい…
今度、シャル・ウイ・ダンスも見てみようかなぁ〜
と、いいつつ、日本版すら見ていない(爆)
Posted by V.J. at 2005年11月24日 08:40
あははー!私は2本ずつです。
”画質、音質が良くなって再登場!”
と情報が入るたびに買ってしまう、ってやつですね!
Posted by masa at 2005年11月24日 12:07
『プレッジ』はベニチオを見る映画ではありませんので、そこを期待されるとお怒りのお便りをいただいてしまうかも…。

『あの頃〜』はゼップ好きのぼくとしてはもう涙なしでは見られない映画ですね。
最初に米盤のレコードがたくさん出てくるところから◎^^
ケイト・ハドスンが可愛くてけなげで涙…。

あと『ザ・コミットメンツ』、これは映画の格としては『スクール・オブ・ロック』の10倍ぐらい素晴らしい映画です(『スクール〜』はおバカ映画ですから)。
もし未見でしたらぜひ…!!
Posted by 遼(Parlophone) at 2005年11月25日 00:12
>masa兄ぃ
いつもどーもです。

いったいいつになったら、Ladies And〜はオフィシャルで発売されるんですかね?
Cocksucker〜は無理かもしれませんが、LadiesはTaylor期の貴重なLiveなのに…

また、そのうち、ブート屋でジェネレーションが3ランクUP!なんて言って発売されるんですかねぇ〜また買っちまうんですかねぇ(爆)
Posted by V.J. at 2005年11月25日 00:16
>遼さん!
指令ありがとうございます(笑)

やっぱ、あの頃〜は見ないとダメの様ですね。
これは今度借りてこよう。うん。

>お怒りのお便りをいただいてしまうかも…。
お怒りなんて…怒らないっすよ。
なーんにも知らないんですから(爆)
でも、21gの中では、ホント、びっくりする位の演技でした。生き地獄の中を彷徨う様、リアル過ぎてちょっと厳しかった…

ザ・コミットメンツですね。

えっと…
 ・あの頃
 ・コミットメンツ
 ・スクール・オブ・ロック
 ・トラフィック
 ・Ohブラザー(masaさん)
この辺を探してみようかなぁ〜

ありがとうございます!!!

P.S.遼さんの旧Blogおじゃましてみました。
JAZZにもお詳しい…
そういえば、今日、会社の帰りに、HMVに寄ったら限定999枚のJ.J.ジョンソンが、トミフラやエルヴィン・ジョーンズとやっているアナログを「限定」二文字につられて買ってしまいました(笑)
今日は、仕事で疲労困憊なので明日以降聴いてみようかな。って思います。
Posted by V.J. at 2005年11月25日 00:24
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